伝わるか分からないけれど書いてみようシリーズです。
ある日のこと、夕方の通勤ラッシュの時間帯にメトロに。
混雑していたし疲れていたので、
何本か見送り、ようやく少しだけ空いている車両がきたので乗り込みました。
すると、何故その車両が少しだけ空いていたのか理由がわかりました。
車内弾き語りのお兄ちゃんがいたからでした。
(車内の音楽家は無許可の人々)
しかもオレオレっぽい男性で、
英語の歌を格好よさそうに(それはよさそうに)弾き語っている。
〝だから空いてたのか〟
メトロと彼の歌は進んでいきます。
私は疲れ、心も閉じ気味です。
次の駅のホームには、更に沢山の人がホームで待っていました。
ドアに近かった彼はギターで歌いながら、歌をうまいこと途切れさせずに降車しました。
〝そこ、途切れさせたくないよねー、kodawari、oreore(rは仏風に)〟
と彼をエールと共に見送ったところ、
何とオレオレ君は駅の名を見てまた戻ってきました、ギターで弾き語りながら。
〝間違えたんかーい!また乗るんかーい!〟
車内はぎゅうぎゅう、どことなく皆も同じ気持ちだったみたいで
するとそれを察したのか歌い続けるオレオレ君はギターの角度をシャッと立て体積を縮小
「皆さんに迷惑はかけませんし、俺は俺で歌い続けます、シンガーですから」
という表明を(したように見えた)。
皆が少しずつ隙間を空けて、彼は扉ぎりぎりに乗車
(背筋を使って扉が閉まるのを待つ感じ)。
そして扉が閉ま、らない!
前の電車が詰まっているのかなかなか発車しません。
彼はラブソングを歌い続けます、シンガーですから。
そんな状況にも屈せず、むしろヒートアップする彼に
車内からも同情する目線や微笑みが飛び交い始めた頃、
オレオレ君越しに、ホームで官能的な接吻を交わす恋人達が映り込んできました。
どう官能的かと申し上げますと、ほとんど動かないのです。
彼女は彼の首に、彼は彼女の腰に腕を回し、
唇のみ、ほんの時々、わずか数ミリ単位で、動かして、いる様なのです。
まだ17時台です、世界と世間は。
ピントを前にずらすとオレオレ君は歌い続ける、愛の歌英語de。
先程までの疲労はどこへやら、ピントを前に後にずらしながら
発車しない/オレオレソング(もはや真っすぐで憎めない)/官能、
というこの状況をただ感じることにしました。
電車が出発したのはもうしばらくしてから。
次の駅に着く頃、近くにいた男性がオレオレ君を讃えてチップを。
◉その女性と同じものをお願いします(食事オーダー時などに)。
Je voudrais le meme plat que cette dame.
ジュ ヴドれ ル メーム プラ ク セットゥ ダム
疲れがどっかいったのは、君(オレオレ)の歌の力かもしれないね。
チョコ有名店の店先。
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